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インタビュー

インタビュー

田代恵理

今月のコントリビューター

2018年4月2日

女性が持つ多彩な“美”を引き出す注目女性フォトグラファー

ゲッティイメージズが選ぶ、今月の注目フォトグラファー。第四弾は、書籍、広告、雑誌と活躍の幅を広げている女性フォトグラファー、田代恵理さんにご登場いただきます。美しい・かわいいなどと既存の言葉では表現し尽くせない多彩な女性の表情を引き出し、国内外で高い評価を得ている田代さん。写真との関わりや、シャッターを切るときに考えていること、魅力的な表情を引き出す秘訣について伺いました。

◆写真が「趣味」から「仕事」になったきっかけ

—写真を撮りはじめたのは、いつ頃からですか?

小学生ぐらいから親にカメラを与えてもらって、撮っていた記憶があります。人一倍写真を撮るのが好きで、遠足や旅行に行くときも必ず「写ルンです」を持っていって、フィルムの枚数がすぐに足りなくなってしまったりして。大学時代まではずっと趣味として撮っていたましたが、社会人になってから友人とグループ展示の開催や、個展をするようになって。同時期にSNSが流行り始め、世の中へ写真をアウトプットするうちに、趣味から、もうちょっと本格的に取り組んでいきたいという思いが強くなっていきました

—写真と関わっていく中で、環境が大きく変化したポイントや出来事はありますか?

写真が趣味から仕事に変わったきっかけとして最も大きかったのが、ゲッティイメージズとの出会いです。「CP+」という年に一度行われるカメラメーカーの見本市のなかで、300人ほどが参加する「御苗場」という写真展があって。そこで展示をしていたら、審査員のひとりでもあるゲッティイメージズ シニア アートディレクターの小林さんに声を掛けていただき、写真を気に入ってくださり、契約しませんかと誘っていただいて、環境が大きく変わりました。

—確か、ゲッティイメージズで販売していた写真が、フランスの出版された本の表紙に起用されたんですよね?

友人から「本になっているよ」と教えてもらって本当に驚きました。本谷有希子さんの芥川賞を受賞した小説『異類婚姻譚』のフランス語訳版ということで、パリの大きい本屋さんでも平積みされたりしているみたいです。すごく光栄ですね。

◆かわいいのは、笑顔だけじゃない。関係性から生まれるいい表情

—なぜ、女性のポートレイト写真をメインに撮るようになったのでしょうか?

3年ほど前に、女の子の友達を、公園を散歩しながら黄色いミモザのお花と撮った写真があって。何気なくSNSにアップしてみたら、ものすごく好評だったんです。その写真はいわゆるポートレイトというよりも、目しか写っていないとか、白飛びしているような写真でしたが、そのときの季節は春で、不安と高揚感が入り混じったような、いろんな表情を出せた写真だったのかなって。

先ほどお話した「御苗場」に出展したのも、その写真なんです。女性の、喜怒哀楽だけじゃない、グラデーションに満ちた仕草や表情を収めた写真ってどう見られるんだろう、と半ば実験的な気持ちでした。その1枚をみて、小林さんが声をかけてくれて、他の方も、今までみたことのないポートレイトだねって言ってくれたりして。もうちょっとこの表現を突き詰めてみたいな、と思い、その時以来、女性のポートレイトがメインになっていますね。

—写真を撮るときには、どのようなことを考えていますか?

あんまり何も考えないで撮るんですけど、ひとつ意識しているのは、カメラに向けられた顔ではない表情を撮ること。女の子って、撮られ慣れている人は特に、決め顔をしてくれるのですが、そこはあまり狙いません。その前後とか、何気なく目線を外しているとき。受け身にならず、能動的に収めたい表情をイメージしてシャッターを切っています。笑顔を向けてくれたときも一応シャッターボタンを押しますが、押しているフリだったり、わざと間違たりします。撮影スタイルとしては、ふつうにお喋りしながら、公園や街中を一緒に歩きながら、撮ることが多いですね。

—女性のポートレイトを撮影する上で、ご自身も女性だからこそ、この表情が撮れる、と思う部分はありますか?

心理的な距離の近さというのはあるのかなと思います。なんとなく、女性って男性の前では「笑顔でいよう」って意識が出ると思うんです。私といるときもニコニコしてくれる人も多いですけど、いろんな話をするなかで、悩み相談みたいな話になったり、少し悲しい話になったり。女性同士だからこそ打ち明けられる話とかも、撮影中に話し合ったりして。そのなかで、楽しいっていうだけじゃなくて、悲しかったり、物憂げな表情は、自然と出してもらいやすい気がします。

—これまでに撮影をしてきた経験上、どんなときに「いい写真」が撮れますか?

モデルさんの部屋で撮影させてもらうときは、本当にリラックスしているので、いい表情になることが多いです。また、友達を撮らせてもらう場合は、人となりや、気持ちを共有しているので、現場でたくさん言葉を交わさなくても、その人らしい顔が撮れるなって思います。

◆写真には、想像を越えた可能性がある

—先月は国際女性デーがあり、女性の社会的役割がフォーカスされる中、ゲッティイメージズでは2013年から「女性ビジュアルの固定概念」を覆していく「Lean-In Collection(※)」という取り組みを行っています。こちらのコレクションにも田代さんの写真が登録されていますが、「Lean-In Collection」はご存知でしたか?(※)2013年より、女性のキャリアを支援するLeanIn.Orgと協力し、Lean-In Collectionを制作開始。本コレクションでは、これまでの男性と女性におけるステレオタイプを超えたビジュアルを集めています。

はじめてゲッティイメージズの会社を訪れ、小林さんとお話するなかで、このコレクションのことを聞いていました。「女性の撮り方として、新しい表現だ」と言っていただいて、いわゆるステレオタイプ的ではないものを撮る、という部分で、私が撮りたい写真と重なる部分が大きいのかなと思っています。私自身は、ただ好きで写真を撮っていた期間が長いので、写真と社会との関わりをかんがえることってほとんど無かったんです。写真によって、世界のトレンドを察知することや、社会を動かすことができるんだという可能性を知れたのも、今思えばゲッティイメージズと関わりがスタートしてからですね。

—今後、写真を通じて表現したいもの、展望を聞かせてください。

被写体になっていただくのは、20 代 30 代の人が多いのですが、女の人が働きにくい業種がまだまだたくさんある、という話もよく聞きます。私は20~30 代の女性がこれから先、きっと今の社会を変えるきっかけを作る人たちなんじゃないかと思っていて。自分が撮らせてもらった女性の方々が活躍していくこと、先々の世の中で、自分の写真が今まで見たことのない広告写真に使われ、世の中を変える女性たちの一人に写真家としてなれたら嬉しいです。まずはもっと自分の表現を突き詰めて、女性のいい表情を撮り続けることができたらいいなって思っています。

—これまで撮影した写真のなかで、特にお気に入りのカットとその理由を教えてください。

1枚目は、本の表紙になった、女性が紫陽花を持って眺めている写真です。それまで趣味の範囲でやっていたのが、作品を売って、海外で本になったことで、周りがフォトグラファーとしてみてくれるきっかけになりました。今はインスタグラムでもどんどん写真って流れていってしまいますが、実際に手にとることができる、物体になることの大きさ、影響力も学ばせてくれた1枚です。被写体はすごく仲が良い友達で、撮影時はほとんど言葉を交わさずに黙々と撮っていました。

2枚目は、お花屋さんに大量にミモザの花を借りて実験的に撮ってみたもの。ゲッティイメージズに提出というよりも、展示用に撮ってみたのですが、結局展示には出さず。ダメ元で小林さんに見せたら、気に入ってくれて。ゲッティイメージズの中でもいろんなタグがついて、ピックアップしていただくこともあったり、写真は自分の中だけで判断せずに「人に見せる」ことで可能性が広がることを実感しました。

3枚目は個人的にすごく好きな写真、というのと、同じ日に撮った一連の写真が、中国の写真を扱うWEBサイトで紹介されていたそうなんです。「日系写真」といって、濱田英明さんや、川島小鳥さんが撮る淡いトーンのポートレイト写真が中国でとても人気らしく、この写真も同じ文脈で紹介されていました。日本だけじゃなくて、アジア圏の人もグッとくるポイントが同じなのかなーと思うと今後がより楽しみになっています。

田代恵理 | たしろ えり

1985年 栃木県生まれ。東京都在住。ポートレイトを中心にフライヤーや web サイト、アーティスト写真、音楽や演劇のライブや公演を撮影。また、海外の企業広告や書籍、ウェブサイトなどの写真提供も行っている。写真展やイベント内での写真の展示でも活動中。また音楽や演劇の公演で共作するなど、写真の世界だけに留まらない活動をしている。

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